子門真人歌曲レビュー FILE.012

翔べイカロスの翼

ぼくのピエロ

1980年(昭和55年)第8回西武ファミリー劇場として全国で56公演行われたミュージカルがこれ。
主演はもちろん子門真人。初めての舞台ということで相当緊張されたそうだが、当時のことをご存知の方、あるいは実際に舞台を見たという方がおりましたら是非いろいろ教えてほしいものだ。
この時代、ちょっとしたキグレサーカスブームだったようで、これもその影響があったと思われる。
音源は舞台の会場で販売されていたというカセットテープ。
(果たしてレコード音源があるのかどうかは定かではない)
作詞作曲編曲や歌などのクレジットも不明だが、EPで発売された2曲のみ判明している。
以下レビューは子門真人歌唱の曲についてのみ。


みんなサーカス

作詩:山口洋子/作曲:すぎやまこういち/歌:子門真人

オススメ度: ★★★★☆ …ワクワク感溢れる曲
歌唱難易度: ★★☆ …軽やかに楽しく
入手難易度: ★★★★ …スーパーレア
一般認知度: …EPになってるだけマシ

この歌はカセットバージョンとEPバージョンの2つのバージョンがある。
詩やアレンジは一緒だと思う。

カセットバージョンとは文字通りカセットテープに収録されている方で、男女コーラスと子門真人がユニゾンでワイワイ歌っているような感じで、これもまた大団円っぽい感じの賑やかな雰囲気。
子門の声は聴こえてはくるが、あくまでもカーテンコールで歌うような感じの大勢の中の一人という位置づけらしい。
本当に出演者全員で歌っているのだろうか?(^^;
おれはこれでもすごく好きだが、子門ファンにはやや物足りないかもしれない。

一方のEPバージョンでは基本的に子門のソロ(+女性コーラス)なので、もう子門の声はバッチリ(別録りかなぁ?)。
カセットバージョンに比べると気持ちテンポもゆったりしてるような...曲の印象も違って聴こえる。
よく考えると(?)この歌、マーチなのでこのテンポがちょうどいいのかもしれない。
カセットバージョンはどちらかというと競歩みたいなテンポだ(^^;
カセットバージョンではよくわからなかった子門歌唱のニュアンスがこちらでは明瞭に聞き取れる。嗚呼幸せ。

それにしても作曲すぎやまこういちとはなんと贅沢な。たぶんアレンジもそうなんじゃないかな。
吹奏楽っぽい編成もいかにもマーチでいい。(マーチングに弦セクションはないからね)
この見事なアレンジのおかげもあって、「さぁサーカスが始まるぞぉ」あるいは「さぁサーカスいかがでしたか」な気分満点。
間奏で巧みにキーをあげて2番で別な調性で始まっているのも隠し味として効いている。
歌も楽曲も文句なし!


ザ・ピエロ

作詩:及川恒平/作曲:すぎやまこういち/歌:子門真人

オススメ度: ★★★★★ …四の五の言わず聴け
歌唱難易度: ★★★★ …激ムズ
入手難易度: ★★★★ …スーパーレア
一般認知度: …EPになってるだけマシ

この歌が本作品のテーマソングなのかもしれない。
「ぼくがいなくてもサーカスは始まるだろう」とはじまるこの歌に込められた想いの深さは、形容の言葉が見つからない。
必要条件ではないことを認めながら、ただただ「君のために」「君のために」演じるピエロ。
この歌をじっと聴いていると、子門真人がおれに語りかけてくるような気持ちになる。
作詩は違うけれど、やはりこれは子門真人からのメッセージなのじゃないかと。
子門真人からの「形のない贈り物」なのじゃないかと。
この歌だけでなくすべての歌が。
それらは確かに「いつまでも壊れずに残」っているのだから。

ありがとうと永遠にでも繰り返したい感謝の気持ちで、滂沱の涙を流しつつこの歌を聴く。
おれは基本的に作品である歌と、アーティストとしての歌手と、プライベートな存在としての個人とは全て分離して考えるたちなのだが、もうこの歌を聴いてしまったからには全てひっくるめて子門真人その人とせずにはおられない。
一生お慕い申し上げます(ヘンな意味じゃないよ)。


夢はもちろんビッグ

作詩:不明/作曲:不明/歌:子門真人

オススメ度: ★★★☆ …シャウト派も満足?
歌唱難易度: ★★ …飄々と、しかし豊かに
入手難易度: ★★★★★ …ウルトラレア
一般認知度: …ほとんど認知ゼロ

ミディアムテンポの懐かしい感じがする曲。
1分半ちょいの短い時間だがしっかり2コーラス。
いきなり「平々凡々ヘイボンボン♪」はちょっとどうかと思うが、のんびりした気分が出ていいかもしれない。
子門の歌唱もすごくリラックスしている。
飄々としたような雰囲気だが、アクセントつけるべきところはしっかりと。
そしてやっぱり最後の最後は「ビィィィ−−−ッグ!!」とシャウト。
大満足。


世の中ほんとにお互いさま

作詩:不明/作曲:不明/歌:子門真人、ほか

オススメ度: ★★★ …ヘタ子供が好きな人に!
歌唱難易度: ★★ …これはかなり簡単な方
入手難易度: ★★★★★ …ウルトラレア
一般認知度: …ほとんど認知ゼロ

同名の曲が2バージョンあるのだが(詩もアレンジも違う)、子門が歌っているのは1バージョンのみ。
具体的には女性ヴォーカル1人と子供コーラス+子門真人。
大人と子供の間の持ちつ持たれつを歌った歌。
1分に満たないワンコーラスの曲だが、なんともほのぼのした温かさが残るのが良い。
ただ、この子供たちの音程には激しく萎える人もいるかもしれないので、覚悟しておいた方がよいかも。
そういうヘタさ加減も愛らしくて許せる人には超オススメ。
個人的にはこの超絶ヘタな子供たちと子門との掛け合いは楽しめる(^^;


ごめんねお母さん

作詩:不明/作曲:不明/歌:子門真人

オススメ度: ★★★★☆ …なんという情感!
歌唱難易度: ★★★☆ …その情感が最大の難関
入手難易度: ★★★★★ …ウルトラレア
一般認知度: …ほとんど認知ゼロ

子門真人の母ソングにはハズレがない。この歌もまさしくそれを実証している。
ギターソロのアルペジオから始まるイントロに子門の歌声が...。
切なく哀しく、優しく懐かしく。
中盤からバック編成も増え、コーラスも加わる。突然ひらけるような感覚に感動。
それが母を想う息子の精一杯の感謝の気持ちなのだろう。
最後のフレーズ「ごめんね、母さん」が耳にこびりつく。

ちなみに、この歌へのアンサーソング的な歌「体に気をつけて」もあるのだが、こちらは母親役の女性歌唱。
合わせて聴くことで感動100倍。


地球は廻る

作詩:不明/作曲:不明/歌:子門真人、ほか

オススメ度: ★★★★★ …まさに大円団!
歌唱難易度: ★★★☆ …なりきり命!
入手難易度: ★★★★★ …ウルトラレア
一般認知度: …ほとんど認知ゼロ

カセットのA面ラストを締めくくるのがこの曲。舞台の構成的にも前半の締めにあたるのではないだろるか?
そんなわけで、クライマックス感、フィナーレ感に溢れた感動の大作(といっても3分ちょい)。
ミュージカルならではのどんどん移り変わるメロディーに子門の歌声が....感動的としか言いようがない。
(但し序盤は男女コーラスのみで歌われ、途中から子門がソロでメインを張る)
夢に向かって一歩ずつ歩きだした若者への応援讃歌。
世の中の引篭もり君たちにも是非聴いてもらいたい。
ちっぽけなひとりの人間である自分を知り、目的を見つけ出し、精一杯生きることの素晴らしさ。

ラストの「ラララーララーーーーーー」はそのままどこまでもいつまでも終わらないような感覚。
実際にはティンパニの6発あたりで終わっているようだ。
しかし、それでもまだおれの耳には子門の声が聴こえている....。


ザ・キングオブクラウン

作詩:不明/作曲:不明/歌:子門真人、ほか

オススメ度: ★★★★★ …熱く燃える情熱
歌唱難易度: ★★★★ …高音のキレ
入手難易度: ★★★★★ …ウルトラレア
一般認知度: …ほとんど認知ゼロ

これはすごい。なにより子門の声の張りがハンパじゃない。
間違いなく本作中で一番熱い曲であろう。
2コーラス2分半という中に、様々な子門歌唱のエッセンスが詰っている。
そして、まさに溢れる情熱の爆発といった感じのシャウトが炸裂する。
女性コーラスとのかけあいも絶品。
キミの心もポン!と弾けること必至。


僕は鳥になれたか

作詩:不明/作曲:不明/歌:子門真人

オススメ度: ★★★★ …憧れや希望とその裏側
歌唱難易度: ★★★☆ …これも情感命
入手難易度: ★★★★★ …ウルトラレア
一般認知度: …ほとんど認知ゼロ

上篠恒彦ばりの低音男性ヴォーカルが歌う「君は鳥になれるか」という歌へのアンサーソングがこれ。
もちろんこちらは子門真人歌唱である。
ミュージカルがどこまで原作に忠実だったのか、見ていないおれは知らないが、忠実だったとすればこの歌に込められたものは歌詞に表記されたもの以上のものがあるに違いない。
憧れや希望への想いを切々と歌いながらも、どこか達観してしまったような満足しきった表情。
ハッピーエンドと捉えるか、悲劇と捉えるかでその人の人生観がわかるかも。

とりあえず「僕は鳥になれたよ」という最後のフレーズには、聴く度に思わず涙してしまうおれである...。


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