CBSソニーから発売された音源によるカヴァーソング特集。
全14曲のカヴァー曲にレア曲2曲、更に既収録音源2曲。
更にカラオケ音源を6曲加えた24トラック。

収録曲一覧
  1. ウルトラマンタロウ /「ウルトラマンタロウ」OP主題歌
  2. ウルトラ六兄弟 /「ウルトラマンタロウ」挿入歌
  3. ウルトラマンレオ /「ウルトラマンレオ」OP主題歌
  4. 戦え!ウルトラマンレオ /「ウルトラマンレオ」第二期OP主題歌
  5. 星空のバラード /「ウルトラマンレオ」挿入歌
  6. 戦え!仮面ライダーV3 /「仮面ライダーV3」OP主題歌
  7. セタップ!仮面ライダーX /「仮面ライダーX」OP主題歌
  8. 仮面ライダーストロンガーのうた /「仮面ライダーストロンガー」OP主題歌
  9. ゴーゴー・キカイダー /「人造人間キカイダー」OP主題歌
  10. アイアンキング /「アイアンキング」OP主題歌
  11. ひとり旅 /「アイアンキング」ED主題歌
  12. ジャンボーグA /「ジャンボーグA」OP主題歌
  13. 戦え!ジャンボーグ9 /「ジャンボーグA」挿入歌
  14. 流星人間ゾーン /「流星人間ゾーン」OP主題歌
  15. サーキットの狼 /「サーキットの狼」OP主題歌
  16. アブラハムの子 /「アブラハムの子」より
  17. 今日もピカピカ /「まんがことわざ事典」OP主題歌
  18. 四季の手紙 /「まんがことわざ事典」ED主題歌
  19. アイアンキング (オリジナル・カラオケ)
  20. ひとり旅 (オリジナル・カラオケ)
  21. サーキットの狼 (オリジナル・カラオケ)
  22. アブラハムの子 (オリジナル・カラオケ)
  23. 今日もピカピカ (オリジナル・カラオケ)
  24. 四季の手紙 (オリジナル・カラオケ)
※ カラオケ音源についてのレビューはなし

シモニストに贈る聖典レビュー
この聖典はまさしくカヴァーによるカヴァーのための聖典である。大御所シリーズのカヴァーも楽しいが、セルフカヴァーが新鮮。普通の歌手ではまずない、自身のオリジナル歌唱との比較が出来てしまうあたり、子門真人の音楽活動の幅広さを改めて実感できるだろう。
レアトラックスである2曲はいずれも必聴ソングだし、緑盤との重複収録となってしまった2曲はカラオケ音源も収録されていることでまずは溜飲を下げることができる(はず)。
1.ウルトラマンタロウ 
   作詞:阿久悠 作曲:川口真 編曲:高井達雄 コーラス:光の国児童合唱団

光の国児童合唱団、がんばってます。冒頭の「タロウ」の語尾が下がっているのが気になるけど、まぁアリでしょう。それよりも特筆すべきは、メインヴォーカルたる子門の節回しにしっかりと合わせて歌っていること。「空を見ろ、星を見ろ、宇宙を見ろ」では音を伸ばす長さから、「宇宙を見ろ」の「う」と「ろ」の部分のような普通では絶対にそこまであわせないようなところまでしっかり付き合っているのだ。これにまずびっくり。ただし、それがよかったかどうかは微妙だったりするのだが....。
テンポがやや遅めなのか、リズムが甘めなのか、オリジナルよりモタモタしている感じもあする。後奏でのリタルダントもかけすぎ。
とはいえ、せっかくのタロウカバーである。子門ヴォーカルを堪能してもらいたい。

2.ウルトラ六兄弟
   作詞:阿久悠 作曲:川口真 編曲:高井達雄 コーラス:光の国児童合唱団

やっぱり「カヴァーは遅くなる」の原則は正しい?ちょっと遅すぎるよ、これ。印象としては違う曲になっちゃってる。
あぁ、オリジナルにこだわらなければこれはこれでちょっと良さもあるんだけどね。うん。別な情緒が出来上がってる感じ。荘厳さが加わるというか、哀愁なんかも感じられるし。非常に味わい深くなっている。そう、オリジナルに忠実なのが良いカヴァーではないのだ。こうしたカバーも素晴らしい!できればこれのカラオケもほしかったなぁ。それが残念。


3.ウルトラマンレオ
   作詞:阿久悠 作曲:川口真 編曲:越部信義 コーラス:光の国児童合唱団

これもカヴァーの醍醐味というか、アレンジャーがオリジナルにあまりとらわれずに編曲した(ような)個性溢れる姿で生まれ変わったウルトラマンレオ!いやぁ、楽しいわ。子門のヴォーカルは桃盤に匹敵する出来栄え。光の国児童合唱団がやや優等生すぎて面白みがないけれど、悪くはない。しかし本当にレオはいろんな音源があるなぁと、みな改めて思うはずだ。


4.戦え!ウルトラマンレオ
   作詞:阿久悠 作曲:川口真 編曲:筒井宏志

やった、COVER&RARE盤を超え、桃盤をも超えるバージョンがこれだ。完成度というかまとまりでいうと桃盤がさすがの出来栄えなのだが、このCBSソニー盤はスピード感とテンションの高さがある。アレンジが新鮮なのも影響しているかもしれないが、とにかく既存の曲に新しい息吹を与えるという意味での価値ではこれが一番。「レオー」の部分にコーラスを重ねないというのも妙に耳新しいよね。で、このコーラス、クレジットがないのだが、光の国児童合唱団とはちょっと違うような気がするので別団体かも。

5.星空のバラード 
   作作詞:阿久悠 作曲:川口真 編曲:高井達雄

むむむむ、これはCOVER&RARE(キャニオン)盤の同曲と甲乙付け難い!どちらも非常に素晴らしい。ヴォーカルの譜割などもほぼ一緒だし、確かに別収録な分微妙なところで違いはあるものの、決定的な違いはないんだよなぁ。うーん、どっちかというとこっちの盤がより感情表現が強いというか、ヴォーカルの音量バランスもこちらが大きめだし、キャニオン盤は表情を抑えたところが魅力、みたいなそんな違いはあるかもしれない。でもほんと、おれにはどっちも素晴らしいとしか言えない。


6.戦え!仮面ライダーV3
   作詞:石森章太郎 作曲:菊池俊輔 編曲:筒井宏志 コーラス:ヤングフレッシュ

こっからはライダーソングのカヴァー。 このV3は青盤に収録されたワンコーラスバージョンとは別モノ。子門のヴォーカルも青盤でのこねくりまわすような唱法ではなく比較的素直に変わっている。全体の雰囲気も少し柔らかくなっているようだ。アレンジがちょっとスカスカな気がする分、聴き劣るイメージがあるかもしれないが、ヴォーカルの聴き比べではどちらも譲らぬ魅力がある。


7.セタップ!仮面ライダーX 
   作詞:石森章太郎 作曲:菊池俊輔 編曲:筒井宏志 コーラス:ヤングフレッシュ

Xも歌っている子門。アレンジは相変わらず違和感ありありだが、冒頭の「セタップ」×3を聴いた途端に、いやこれはオリジナルとはまったく別物だと思って聴くしかないという覚悟が自然に湧いて来るから不思議だ(笑)。そうなると、いつの間にかどれもこれもが新鮮で楽しくワクワクさせられる部分ばかりなのに気がつく。メロディーの崩し方などはまさにシモニック崩し。「X!」も「セタップ」同様短くアクセント付きで歌われるので、3番に来るころにはどっちも気にならなくなる。いや、ウソだ。クセになる(笑)。


8.仮面ライダーストロンガーのうた
   作詞:八手三郎 作曲:菊池俊輔 編曲:筒井宏志

そしてストロンガーで一気通貫完成!(笑)水木キラーはここでも健在。もう、なんというか言葉がありません。
Aメロの明快なアクセント、「日本の」のクレッシェンドや「カーッと」を経て沸々と来たものが「ショォォォァァック!」でスパーク!感涙。その後のヴォーカルをダブルで重ねて「かけてゆく」をたっぷり伸ばすのもスバラシイ!。2番3番も同様で、もうこれは誰が何と言おうとオリジナル水木の立つ瀬がないのは明白。ヘビロテすることですっかりこっちの方がインプットされるであろう。


9.ゴーゴー・キカイダー
   作詞:石森章太郎 作曲:渡辺宙明 編曲:筒井宏志 コーラス:ヤングフレッシュ

オリジナルより快速なキカイダー。「チェインジ」が「チェンジ」になってしまっているのが残念で仕方ない。子門さん、あなた01ではちゃんと「チェインジ」を継承しているのにどうしてここではそれを捨ててしまったのですか?(笑) 「ゴゴーゴー!」のシャウトでちょっとは救われるものの、やはり無念さは残る。「ジローチェンジ、キカイダー」の「キカイダー」の譜割が3番だけ違うことや、「1,2,3」のシャウトの仕方が全部違ったりとか、サビでのクレッシェンドとか聴き所もたくさんある。どれも好きなのにぃ〜。惜しいっす。(オリジナルと違うのがカヴァーとはいえ、オリジナルの大事なところは残してほしいという我がまま) でも結局は好きなんだけど。てへ。


10.アイアンキング
   作詞:佐々木守 作曲:菊池俊輔 編曲:高井達雄

うわ、遅っ!とにかくそれに尽きる。ところが、このテンポで聴くとオリジナルにはなかった情感が浮かび上がってくるのだ。まず歌の前半Aメロ部分が、非常にダークで不安なイメージを増してくる。オリジナルではスピード感に隠れて見えなかった要素だ。Bメロに入ってからの応援フレーズにも熱が入る。「キックキック」のシャウトも戦いのかっこよさよりもそこにのぞむ決意みたいな部分がクローズアップされる。いやはやびっくり仰天なイメージ変化を体験できるのだ。さすがは子門真人セルフカヴァー、伊達じゃない。


11.ひとり旅
   作詞:佐々木守 作曲:菊池俊輔 編曲:高井達雄

こちらもちょっとだけ遅いかもしれないけどオープニングほどは気にならない。オリジナルは音楽のスピード感とメロディーの流れとのギャップが印象的だったのだが、このカヴァーではそれが一体化している。音楽と歌メロの流れが同じ。その意味ではしっくりくるところもあるのだが、アレンジというかミックスというか響きがやや拡散傾向でオリジナルほどの凝縮度がないのが惜しい。
子門の歌唱はこちらの方が朗らかさを加えていて、スピード感の変化にマッチしている。さすが、である。どっちがいいかは好みの問題だが、どちらも味があるとするのが正解かも。


12.ジャンボーグA
   作詞:清瀬かずほ 作曲:菊池俊輔 編曲:越部信義

うわー、なんじゃこのイントロはー!!!と思う人が99%だろう。他にもアレンジによる違和感がそこかしこにあるけれど、セルフカバーであるから、これはこれとして楽しんでしまえ!と心が叫ぶ。その叫びに従おう。わざわざセルフカヴァーで同じアレンジ、同じ歌唱をする必要はまったくない...というかそっちの方がむしろ無意味。このカヴァーならではのヴォーカルの崩し、ニュアンス違い、アレンジの違いを存分に味わうべし。アレンジだけはどう考えてもオリジナルの方がいいけど、歌唱はこっちも非常にいいよ。


13.戦え!ジャンボーグ9
   作詞:清瀬かずほ 作曲:菊池俊輔 編曲:越部信義

またも全く別もののイントロ。笑う。そしてヴォーカルも大変貌。なんと「ジャンジャンジャン」がメロ通りシャウトなしで歌われるのだった。うほー、これはこれですげー。なんか「戦え!ライディーン」の2番みたいで逆に燃えるっ!しかし2番ではちょっと我慢しきれなかったパッションが顔をのぞかせ、それがまたなんとも微笑ましい(?)。思わずこっちのカヴァーの方が好きになりそう...。いやいや、一番最後の「ゥワオー!」の大シャウトがなくなってしまったのは納得いかん、やはりダメじゃー!と一方で叫ぶモノあり。そんなジレンマもセルフカヴァーならではで嬉しい悲鳴なのかも。


14.流星人間ゾーン
   作詞:石狩あきら 作曲:三沢郷 編曲:越部信義 コーラス:光の国児童合唱団

ああもういい加減この奇妙なアレンジ何とかしてくれぇーっ!「ゾーンゾーン」の所は歌メロも合わせて譜割が変わっちゃってるじゃないか!「ゾーンファイト」に至ってはメインが欠落してコーラスのみに書き換えられてる!こんなのおかしすぎ。1番が終わって即2番に突っ込むのもものすごい違和感。いや、あのさ、いくらセルフカヴァーはオリジナルと違ってなんぼって側面はあるにしたってここまでやらなくてもよろしいのではないですか、越部さん?
百歩譲ってそれが正しいのだとしても、せめてもうちょっとかっこよく変えてくださいお願いしますお願いします。メロとコードがヘンなところとか、何とかしてください。2番の後の間奏も、フレーズは一緒でも昼ドラのBGMみたいで圧迫感あります。
え、子門ですか?子門はここでも見事な歌唱を披露してるよ。うん。ただ、曲として納得いかないだけ。面白くはあるけどね。

15.サーキットの狼
   作詞:池沢さとし 作曲:子門真人 編曲:鈴木宏昌 演奏:コルゲン・バンド

さ、心新たにレア曲を聴け。これはオリジナルだぞ!(笑)
いきなりカデンツァ風のスキャット。すばらしい。これぞ子門。ところが、ボーナストラックのカラオケ音源には、このスキャットをやる時間的空白が存在しない(最後の部分も同様)。この通りには歌えないのだ!なぜだ!!!責任者出てこい!!!!!(怒)
さてこの歌、1977年収録なのに、子門のヴォーカルが既にかなりとろけている。これがおれ的には一番びっくり。こうした唱法が後年出来上がったものではなく、既に最初から子門真人の中には存在していて、単にまんが主題歌の歌では使用してこなかっただけなのだということがわかったからだ。ではなぜこの歌でその唱法を用いたのか?ジャズっぽいアレンジにあわせるためもあるだおるが、自身が作曲しているというのも大きいのではないか?こうしたアクの強い歌唱を他の「先生」が作る曲でやるのには自制心が働いていたのではないか、と。ま、真相はわからないけど、とにかくとろけ歌唱万歳!おれ大好き。この歌、単にとろけだけではなく、フレージングやニュアンスまでが全て自由でそして自然なのだ。この伸びやかさ奔放さ加減は当時の歌としては異例。
そして何よりもこの歌が名曲であるということも忘れてはならない。名歌唱と名曲のマリアージュである。

16.アブラハムの子
   作詞:・作曲:不詳 編曲:丸山雅仁 コーラス:アブラハム子供劇場合唱団

この歌を聴いたことがない人というのは、あまりいないのではないか?日本の幼児教育にこの曲を浸透させたのが、他ならぬこの音源であったということはおれも知らなかった。それほどまでにスタンダードと化しているナンバーだからだ。もしかすると世間一般では「およげ!たいやきくん」の次にメジャーな子門ソング(?)なのかもしれない。※その後の別人歌唱で知った人も多いだろうが。
とりあえず、楽しく明るく朗らかに子供達と一緒に歌って踊る子門が目に見えるようだ。その声に無限の優しさ(慈愛のようなもの)を称えているのも子門ならではで、様々なニュアンスに微笑みつつ心癒される一曲となっている。是非、この歌唱この音源で後世に伝えていってほしいのだが....。

17.今日もピカピカ
   作詞:岡田冨美子 作曲:すぎやまこういち 編曲:高田弘 コーラス:サカモト児童合唱団

こちら(緑盤)を参照。

18.四季の手紙
   作詞:岡田冨美子 作曲:すぎやまこういち 編曲:高田弘 コーラス:サカモト児童合唱団

こちら(緑盤)を参照。


以上、聖典7のレビューおわり。

カヴァーをこうしてメインに据えたCDを聴いていると、カヴァーの存在意義やこうしたカヴァーを歌った子門真人の気持ちなどに思いを馳せないではいられない。単に音源を聴く(あるいは歌う)だけでなく、オリジナルと比較したり、また何かを考察したりなどの能動的行為にリスナーを誘導してしまう魅力がこの聖典には確かにある。パチもんなどと軽く一蹴する見方もあるだろうが、それは視野狭窄甚だしいと言わざるをえない。そして我々はまたもや、子門真人というヴォーカリストの凄さを感じるのである。
尚、緑盤との重複曲はあえて書き直ししなかったが、この盤の流れで「アブラハムの子」の後に聴くと、子供達へのメッセージ的側面がより強く感じられるような気になるから不思議だ。カラオケも有効活用しろよ、アミーゴ。

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