4年半の沈黙を破って現れた新たなる聖典。
ひらけ!ポンキッキの楽曲をオリジナルとカヴァーで収録。
子門歌唱におけるもうひとつの地平を垣間見る絶好の一枚!

収録曲一覧
  1. およげ!たいやきくん
  2. はたらく くるま
  3. はたらく くるま2
  4. ぼくはでんしゃ
  5. 恐竜が街にやってきた
  6. 十二支のうた
  7. ホネホネ・ロック
  8. 野菜畑の演奏会
  9. からだ元気?
  10. ニュートンファミリー
  11. ケンカのあとは
  12. ジャンケン・パラダイス
  13. アメリカインディアンの教え
  14. こよみをめくって汽車がゆく
  15. がまがえるガマエル
  16. へんしんロック
  17. およげ!たいやきくん (オリジナル・カラオケ)
  18. はたらく くるま2 (オリジナル・カラオケ)
  19. ホネホネ・ロック (オリジナル・カラオケ)
  20. がまがえるガマエル (オリジナル・カラオケ)
※ カラオケ音源についてのレビューはなし

シモニストに贈る聖典レビュー
一般に広く知られている、所謂「テレビまんが主題歌」についてはこれに先立つ聖典4枚でほぼ網羅されていると言っていいため、新聖典そして更にその先にあるべきは、隠れた名曲の発掘が中心となるであろうことは想像に難くない。そしてこの盤は「ひらけ!ポンキッキ」の楽曲をオリジナルとカヴァーを合わせて16曲収録している。レア商品であったLPレコードと同じ構成で復刻を狙った企画者の意気やヨシ。
レコード音源を持っていたファンもそうでないファンも、改めて耳を傾けよ。主題歌には現れなかった様々な歌唱表現がここに凝縮されていると言ってもよい。
1.およげ!たいやきくん
   作詞:高田ひろお 作・編曲:佐瀬寿一

言わずと知れた日本レコード界いや、音楽界の金字塔。ま、売上枚数という意味で。
しかし我々シモニストにとっては何枚売れたなどというのはどうでもいいことで、むしろ世間一般の人々にこの歌のイメージでしか子門真人というシンガーの記憶が存在しないという事実を嘆かわしく思うのが王道。いやほんともったいない。残念だ。
おれはたまたまこの歌のヒット時がタイムリーに幼少時と重なったのだが、当時飽きもせず毎日毎日テレビで流れていた上に更にレコードを繰り返し繰り返し聴いていたもので、そこまで執拗にリピートしても色褪せない魅力というのが何なのかと問われればそれは一重に子門真人の歌唱故と結論付けるしかない。一番最初にこの歌を歌った生田敬太郎の記憶などまったくないし、他の誰が歌ったとしてもこのような歴史的存在になったとは思えない。というわけで、あまりに定番すぎてどうも...という人もいま一度耳を傾けて欲しい。そして改めて思う、この歌のキーは高いっす(終盤激しく息切れし、苦しくなります)。


2.はたらく くるま
   作詞:伊藤アキラ 作・編曲:越部信義

まったり独特な曲風のたいやきくんから一転、明朗快活なイントロ。心が洗われる思い(いや、たいやきが汚れてるわけではない。オリジナルはのこいのこだが、「2」を歌っている関係で全然違和感がない。むしろこっちの方が味があるということで、カヴァーにおけるオリジナル殺し効果はここでも抜群。
3番の表現がいかにも子門真人で、ニヤリとしてしまう。それにしても子門と子供コーラスのかけあいの楽しさは格別で、その辺を連続で堪能できるこのCDの構成は素晴らしい!


3.はたらく くるま2
   作詞:伊藤アキラ 作・編曲:越部信義

カヴァーの前曲と比較すると音がやや柔らかいイメージ。子門のヴォーカルは同じ比較で若干硬質というか、声密度が高くてぐっと凝縮されてるような感じ<気のせい?
オリジナルのこちらでは2番から子門崩し表現が加わっている。「はたらくくるま」2曲はこれまたキーが高めなので普通の人にはサビがやや苦しいのだが、音源を聞いている限り子門があまりに余裕たっぷりであるため全くそれを自覚できないという罠があるのでカラオケで歌う人はくれぐれも注意せよ。


4.ぼくはでんしゃ
   作詞:伊藤アキラ 作・編曲:越部信義 共演:ぶんけかな コーラス:森の木児童合唱団

似てる、似てるけど違う。そんなデジャビュ効果も多少加味されて楽しさUPな曲。ぶんけかなとのユニゾンデュエットや交互に歌ったりするあたりが新機軸ってとこか。「はたらくくるま」ではコーラスのクレジット表記がなかったのだが、こちらは森の木児童合唱団と明記されている。
デュエットであるためか、子門崩しはほとんどなく、譜割に忠実。これはこれでとてもいい!あらゆる意味で余裕しゃくしゃく。ぶんけかなをリードするような趣もあって子門お兄さん!な雰囲気まで楽しめる。キーも低めでファンにも歌いやすいのもGOOD!


5.恐竜が街にやってきた
   作詞:仲倉重郎 作・編曲:藤家虹ニ

上篠恒彦のオリジナルをカヴァーしたものだが、このハマりっぷりは半端じゃない。唯一の弱点は3回目「ガオー」のタイミング違い(ブックレットの解説にも表記されている)だけだが、これが幼少時の記憶のギャップとなって違和感が残ってしまうのが本当に残念でしょうがない。普通のカヴァーなら気にしない(むしろそれが味になる)ところなのだが、この部分は気にいっていたところなので違っているのが納得いかないのだ。おそるべし幼少時の記憶。
ま、それはさておいても、ステレオ左右から低音子門ヴォイスが中央のメインヴォーカルにハモってくるところなどは(オクターヴだけどね)ちょっと感動。うはははははは、と笑いだしたくなるほど楽しい。


6.十二支のうた
   作詞:吉田美智子 作・編曲:米光亮

この歌とジャンケンパラダイスとは人によっては賛否両論分かれるのではないだろうか?正直楽曲としての魅力は今ひとつなのだ。子供向けでやりたいことというのは歌詞で明確(こちらは干支でもう一方はジャンケン)なのだが、あまりに変わった曲にしすぎである。しかし、そんな曲でも子門真人が歌えばそれだけで聴かせてしまう曲になってしまう。実際にはカヴァーなのだが、こうなるとオリジナルはちょっと聴きたくないというか、あえて聴いて子門の素晴らしさを再認識したいというか、ヘンなジレンマに陥る。
この歌の聴き所は号令のような干支連呼や、シャウト気味の干支連呼か。

7.ホネホネ・ロック
   作詞:高田ひろお 作・編曲:佐瀬寿一

たいやきくんほど広く世間には普及しなかったものの、子供達の間ではたいやきくん以上に強烈なインパクトを残した曲。ロックテイストだけじゃなく女性コーラスを加えたカッコよさ色っぽさが妙に生々しい歌詞の描写と相俟って鮮烈!言うのも野暮だが、それに子門真人のヴォーカルが加わる効果というのはほとんど反則技で、核爆発なみの破壊力となる。
その核爆発こそ「ホーネホネロック!」というサビに象徴される高揚感であり、間奏部分のスキャット(アドリブ?)なのである。スキャットまで完全フォローするシモニストは数少ないと思うが、是非ともそこまで精進して歌い込みたいナンバーだ。


8.野菜畑の演奏会
   作詞:高田ひろお 作・編曲:佐瀬寿一

ロックの次はジャズである。この歌での子門の表現力には驚嘆せざるをえない。いちいち説明するより聴くに限ると言うしかないのだ。ワンフレーズの中の情報量が多い多い!これを完璧にコピーしようと思ったら並大抵ではない。
おどけニュアンスに太めの声質を加えて軽やかに歌うことで独特のケレンを表出する基本スタイルから、しゃくり、大袈裟ビブラート、崩し、サビでマイナー転調するところでの悲しく切ない表情への変化など、まさに縦横無尽。幸せだぁ〜っ!
ところで、男性コーラスや女性スキャットも非常にいい味だしてるのにクレジット表記はナシ。なぜ?


9.からだ元気?
   作詞:佐藤ありす 作曲:しょうじだいすけ 編曲:シャンティ・シャンティ

コンセプトとしては干支やジャンケンと同列な「部位覚え体操」なのだが、楽曲としてまとまっていて親しみやすいのがよい。
やっぱりカヴァーなのだが、既に前述しているように、こういう曲での子門効果はとにかく「間違いない」の一言に尽きる。
こうしたレゲエ調でちゃんとした歌を子門にももっともっと歌ってほしかった。きっと名曲が誕生しただろうに....。


10.ニュートンファミリー
   作詞:高田ひろお 作・編曲:佐瀬寿一

カヴァーが続くがまるでそんな気配を感じさせないピッタリフィット感。この歌でも子門真人「らしさ」が全開。
「シャイプアップ!」シャウトは当然として、「メソメソ」での微妙なニュアンス変化、「ぼくもブタ?」疑問ニュアンス、繰り返しでの「100グラム」シャウト、最後はシャイプアップ前の「トントン」までシャウトしてくれて大サービス。
ところで、ぶたの鳴き声真似も子門なのだろうか?だとしたら更に嬉しい!...楽曲自体が良いのもよし。


11.ケンカのあとは
   作詞:荒木とよひさ 作曲:三木たかし 編曲:川口真 共演:ぬまくらまき

なんと優しく温かい子門ヴォイス!!!!泣けます。いや、実際何度この歌で泣いたことか。
そしてぬまくらまきの声も非常にいい。子門とベストカップル賞を与えたいぐらい、他の大人女性歌手の出る幕ないね。
これもカヴァーだなんて...と思ってオリジナル(ケント・ギルバート&ジュン・マリー)聴いてみたんだけど、まるっきし比較にならんですわ。わざわざ聴く価値Nothingってことで、シモニストならずともこれだけで充分。
歌詞カード見れば一目瞭然だが、歌詞のほぼ半分は「ほっぺにChu」なのにそのフレーズをまだまだずっと聴きたいと思うのはおれだけじゃないはず。このほのぼの感、幸福感は「子門真人 歌う絵本」のB面に共通する味わいだ。う〜、ゾクゾク。


12.ジャンケン・パラダイス
   作詞:森由里子 作・編曲:本間勇輔

出ました、子門ソングの中でも歌い難さNo.1との呼び声のあるこの曲。ヘンなメロディー進行なのでアカペラでは歌えないし、そもそもこの自由奔放すぎるアドリブ歌唱をコピーするだけで至難の業。ディレイをひとりでやるかどうかも悩ましい(笑)。
と、まぁ歌うことを考えると頭を抱えてしまいたくなるのだが、鑑賞用としては楽しさ満点。
さても、いきなりプルルルルルルとやられて唖然とする人もいるかもしれない。Bメロでの妙なエフェクトはちょっといらん感じもしてあまり好きじゃない。「努力で勝つ」のダブルは非常に好き。なによりやっぱ変幻自在の歌いっぷりに惚れる!


13.アメリカインディアンの教え
   作詞:佐田青竹、大南兼一 作曲:服部良一、水谷良一 編曲:水谷良一 コーラス:児童合唱ゆりの子

さてさて、みなのもの、この歌をどう思われるか?同じメロディーを10回繰り返して最後に違うメロディーとなって終わる構成。長すぎると思うかどうか?ここがおそらく子門真人の歌唱を本来の意味でリスペクトできるかできないかの分かれ目かも。もちろんおれはオッケー。むしろこの歌のヘビーローテーションも厭わない。
微妙な変化を加えて歌われるメロディーに耳を傾けるだけで、いや子門真人の声を浴びるだけで幸福になれる....。「はにかみ屋」と「悪さ重ねて」のあたりの表現とを比べてみなさい。たとえワンフレーズたりとも流さず、言葉に思いをこめる様がはっきりわかることと思う。
そしてこれを歌うのだ。聴くだけでおわるか、自らも歌おうとするか、ここもひとつの大きな分かれ目。
そうしてここまでたどり着いた人のみが、全曲通して歌ってはじめて感じられる感慨があることに気がつくだろう。
さぁ、ここまでやって来い!おれは待っている。


14.こよみをめくって汽車がゆく
   作詞:高田ひろお 作・編曲:佐瀬寿一

カレンダーソング。単純な構成と思うなかれ。譜割が変化しまくりで結構大変なのよ。言葉とリズムとをしっかり叩き込まないとすぐにウロの波に飲み込まれてしまうので要注意。子門も淡々と歌っているようで、実はほんとにちょっとしたニュアンスを加えることでいろいろ変化をつけているのだというのがわかる。アメリカインディアンの教えと一緒で、味わうために結構な集中を要するのだよ。
アレンジも心にくい演出あったりするんだけど、まぁそこらへんも含めて鑑賞してほしいし、最終的には歌えってことで。うん。


15.がまがえるガマエル
   作詞:さいとう大三 作・編曲:馬飼野俊一

のりものソング(カレンダーソング含む)もいいけど、楽曲単体でしっかり自己主張するにはインパクトがいまひとつってことで、この歌は本当に子門真人のための楽曲というか、オリジナルであることもあってか、本当にしっくりくる曲。この時代の子門真人のアクの強い声質がここでは歌の世界を表現するのに絶好というのもある。行司の掛け声部分然り、カエルの鳴き声部分然り。
この歌のカラオケが収録されているのは本当にありがたいことだし、聖典たるもの、実践を伴うべしという姿勢を明確にする意味でも非常に有意義である。グッジョブ!


16.へんしんロック
   作詞:前川宏司 作・編曲:佐瀬寿一

この歌にはいろいろ言いたいこと(聞きたいこと?)がある。まず、一番気になるのは「ゴーン」「ゾーン」「ボーン」の掛け声の意味だ。「ゴーン」はgoneか?「ゾーン」はzoneで、ボーンはboneだとすると、骨か?骨なのか?なぜ骨?わけわからん。更にわからないのは「ガグッゴ」「ザジッズ」「バビッブ」の擬音である。単に五十音の濁音列をもじっただけなのか。それにしては1番の「ガグッゴ」だけ抽出する音の行が違うのでそれもまた妙に気になるぞ!いったい何なんだ!?
「マジンガーより」なんて思いっきり既存番組のロボット名を出しても平気なのか?という心配もある。
そんないろんな疑問が頭をかけめぐりつつ、自在に上下する音階に翻弄されていると、次第にどうでもよくなってくる(苦笑)。いいじゃないか、ノリノリ子門ソング万歳!歌え、叫べ、アドリブ入れまくれ!フォゥッ!!!



以上、聖典5たるポンキッキ盤のレビューおわり。

すっかり興奮したままレビューを書き上げてみたものの、この聖典についてはいまひとつその真価を伝えきれていないようなもどかしさを憶える。感じたことを言葉にするのは可能だったとしても、その言葉がありきたりだったり、既に使われた表現だったりすると興ざめなんだよねぇ。それを気にし出すと結局沈黙は金也じゃないけど、言葉少なになってしまうというか....。
買ってはみたものの、あまり聴き込んでいないという人に、「そんなもったいないことだけは絶対いけない!」と強く抗弁してみる。これだけは絶対に本当だ。このレビューで伝えきれなかったものが、もっともっと歌の中にあるのだ。シモニストならば、見つけられるはず。見つけてほしい。そして歌ってほしい。
所謂ヒーローソングだけでは語りつくせない何かがきっと...。

[ UP ]